*当事者編と重複する内容については当事者編を参照
事業所編 質問一覧
- Q1 契約していた利用者はすべて、同行援護事業の利用対象者となるのでしょか?
- Q2 支給量の制限はあるのでしょうか?
- Q3 同行援護事業では1日の利用時間に制限はありますか?
- Q4 一人の利用者に対して1日に複数回派遣することはできるのですか?
- Q5 利用料はどのようになりますか?自治体によって差が生じるのでしょうか?
- Q6 同行援護事業が実施されると、移動支援事業はなくなるのでしょうか?
(業務範囲)
- Q7 同行援護事業ではどのような内容が対象となるのでしょうか?
- Q8 行き先での代読代筆はどの程度まで従業者の業務になるのでしょうか?
- Q9 自宅内での代読代筆も支援の内容に含まれるのでしょうか?
- Q10 宿泊を伴う利用の要望が多いのですが、認められますか?
- Q11 従業者の自家用車に乗せてほしいという要望がありますが、認められるようになるのでしょうか?
- Q12 温泉等の公衆浴場での情報提供が欲しいという利用者がいるのですが、どのよう対応まで可能でしょうか?
- Q13 福祉団体活動行事に対してはグループ支援で対応して欲しいといわれたのですが派遣できますか?
(他制度との兼ね合い)
(サービスエリア、サービス時間帯)
(契約等)
(諸経費)
(サービス提供の資格等)
- Q19 同行援護事業従業者の資格要件はどのようなものですか?
- Q20 現在雇用している移動支援事業従業者は、同行援護事業従業者として活動が可能なのでしょうか?
- Q21 加算事業所になるためには応用過程を終了した従業者が従業者全体の何割以上必要なのでか?
- Q22 同行援護事業の実施に当たって、事業所は新たなサービス提供責任者の配置やその資格要件はありますか?
- Q23 同行援護事業については、請求業務は国保連に電子請求をすることとなるのでしょうか?
事業所編 Q&A
- Q1 契約していた利用者はすべて、同行援護事業の利用対象者となるのでしょか?
- A1 基本的には対象者になります。同行援護事業の対象者は次のようになります。
身体障害者手帳を取得していることが基本となります。その上で、視力、視野夜盲などに関して国が定める一定以上の障害程度(アセスメント票)に該当する方で移動に困難をかかえている人は、手帳の等級にかかわらず対象となります。また、障害者自立支援法で必要とされる障害程度区分調査は利用の条件にはなりません。
移動支援事業では手帳の等級などが基準になっていますが、同行援護事業ではその点は大きく変わります。利用者の対象者は広がったと言えるでしょう。
わかりやすく言えば、手帳等級の3級以上の方は対象となりえますが、それ以外の方はボーダーライン上にあると言えます。特に、夜盲や視野狭窄のある人については確認が必要です。事業所でもこの部分を市町村がどのように支給決定しているかについて確認しておく必要があります。
- Q2 支給量の制限はあるのでしょうか?
- A2 国は「利用者のニーズに基づいた時間」として、明確な利用時間の上限は設けていません。基本的には利用者のニーズに基づき時間決定がなされるので、必要とされる時間が決定される方向となります。厚生労働省は一人の利用者について一ヶ月9890単位を見込んでいます(「身体介護伴わない」の場合は50時間相当)が、これは、自治体への国庫負担基準の上限であって、利用者個人の支給量目安ではありません。ただし、必要時間を支給してもらうことはできますが、無意味に支給はできませんので、要求する時に必要な時間の根拠を明らかにしておくと良いでしょう。
- Q3 同行援護事業では1日の利用時間に制限はありますか?
- A3 国は制限をしていません。今まで移動支援事業では自治体によってそれぞれの基準を設けていた場合がありましたが、同行援護の場合、制限は設けられていません。更に、全国調査では、一日の利用時間を自治体は制限をしていないのに事業所が制限をしているところもありますので、運営面で改善が必要な事業所があると考えられます。
同行援護の場合は、時間制限がありませんので事業所として、対応できる同行援護従業者を確保しておくことが必要です。
- Q4 一人の利用者に対して1日に複数回派遣することはできるのですか?
- A4 1日に複数回派遣することはできます。これは、行動援護と同様に、1日何度利用しても、合わせて1回の報酬算定をするためです。これは、障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年9月29日厚生労働省告示第523号)第3の1の注5と同じと考えられます。
- Q5 利用料はどのようになりますか?自治体によって差が生じるのでしょうか?
- A5 全国一律の基準となります。生活保護及び市町村民税非課税世帯は無料、課税世帯ついては1割負担です。市町村民税の額によって負担上限額が決められます。なお、課税状況の判断となる範囲は、本人と配偶者です。詳細はお住まいの市町村にお尋ねください。
- Q6 同行援護事業が実施されると、移動支援事業はなくなるのでしょうか?
- A6 基本的には移動支援事業で利用できていた内容は、すべて同行援護事業に移行されます。ただし、各自治体の独自判断で認められていた通勤・通学やグループ支援などは、同行援護事業の対象とはなりませんので、引き続き移動支援事業として利用することは可能です。
(業務範囲)
- Q7 同行援護事業ではどのような内容が対象となるのでしょうか?
- A7 「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除き、原則として1日の範囲内で用務を終えるもの。」とされています。これは、通院や買い物などはもちろんのこと、社会参加や余暇活動についても認められることになります。今まで、必要不可欠な外出や社会参加のための外出などという区分がありましたが、同行援護の場合そういった区分は設定されていません。個別支援のほとんどが対象となります。
ただし、宗教伝道や政治活動については対象外とされますが、日曜礼拝や集会への一員としての参加などは含まれます。
また、移動支援事業では、投票行為は政治活動として対象になっていない自治体もあるようですが、そもそも投票行為を「政治活動」と考えることが無意味です。同行援護の場合はこのような制約はありませんので制度を理解して実施するようお願いします。
- Q8 行き先での代読代筆はどの程度まで従業者の業務になるのでしょうか?
- A8 これまで明確となっていなかった代読代筆ですが、同行援護事業の内容に含まれることが明確となりました。また、「視覚情報の提供」が業務とされたことから、会議出席中の時間や通院などでの待ち時間でも、視覚障害者にとっては資料を読んでもらうことや周囲の状況を伝えてもらうなどのことは必要なことですから対象となります。
ただし、不動産売買や融資に関する契約などに関する代筆は対象となりえない側面があります。また、契約などではなくても、多額の金銭の入出金などを取り扱う場合の基準を事業所として設定しておくと、従業者が安心して業務に従事が可能でしょう。事業所がどこまでの範囲を認めるかがポイントです。あくまでも参考ですが、ATMで取り扱いができない金額についてはサービス提供責任者が立ち会いを行うことにより可能となるのではないでしょうか?
- Q9 自宅内での代読代筆も支援の内容に含まれるのでしょうか?
- A9 自宅内では出来ません。自宅での代読代筆は、居宅介護サービス(ホームヘルパー)で可能とされています。同行援護、移動支援とは別に市町村に求める必要があります。「ホームヘルプサービス事業実務問答集」(平成9年7月厚生省老人福祉計画課・障害 福祉課・エイズ疾病対策課(抜粋)を参考にしてください。
- Q10 宿泊を伴う利用の要望が多いのですが、認められますか?
- A10 1日単位の従業者の稼働時間を明確に終了させることによって可能です。厚生労働省も一日の連続として認めています。 事業所側も、宿泊の意味を理解する必要があります。宿泊とは従業者が夜勤を行うことと同様の意味があるため、同行援護や移動支援ではこのような援助はないことから宿泊を認めることはありません。
遠方への外出の場合、従業者の気持ちが無ければこの部分は成立が難しいと考えることが必要です。
夜間の取扱いをどのようにするかは事業所で異なりますので対応を考える必要はあります。
- Q11 従業者の自家用車に乗せてほしいという要望がありますが、認められるようになるのでしょうか?
- A11 同行援護事業のサービスを、従業者が車両を使用して行うことはできますが、その時間は算定されません。
このようなサービスを行う場合は、福祉有償運送の指定を取得することが必要です。
- Q12 温泉等の公衆浴場での情報提供が欲しいという利用者がいるのですが、どのよう対応まで可能でしょうか?
- A12 基本的には可能です。今までの移動支援では身体に触れる場合は「介護」とされていたようですが、もともと視覚障碍者のガイド方法は基本姿勢からして、ひじの部分を利用者がつかんだり、肩に手をおいたり、手をつないだり、腕を組むのがその支援の基本です。したがって入浴時や浴室内での移動で腕を組んだ場合でもそれは移動時の支援であるため「介護」とはとらえません。これを取り違えることの無いようにしてください。特に介護事業を同時に行っている事業所では取り違えることが考えられますので、この点を理解する必要があるでしょう。
- Q13 福祉団体活動行事に対してはグループ支援で対応して欲しいといわれたのですが派遣できますか?
- A13 同行援護事業にはグループ支援型はありません。グループ支援は移動支援事業で対応となります
(他制度との兼ね合い)
- Q14 介護保険のサービスを受けている方が通院される場合でも、同行援護事業を利用してもらうことができるのですか?
- A14 同行援護事業は介護保険のサービスにはない視覚情報提供がサービスの主目的ですので、介護保険の被保険者であっても利用可能です。ただし、通院の場合であって、要介護認定と障害程度区分認定の双方を受けている方の場合には、介護保険制度の訪問介護(通院等介助)と同行援護事業のサービス内容が同様となるケースもあるため、その際には、介護保険制度を利用して通院するよう市町村から指導を受けることが考えられます。あくまでも両者のサービス内容が同様かどうかを確認し、異なる場合には優先関係がないことを利用者の皆様にお知らせ下さい。
特に、通院の場合、介護保険制度を利用して通院するよう市町村から指導を受けていた地域が多いようですが、同行援護事業でも、通院が可能であると明確な回答を得ています。しかし、本来院内は病院関係者が行うことになっているため、入り口までと言われることがあると考えますが、同行援護の場合は、視覚情報の提供であるため病院関係者ができないことが考えられますので、その点を明確にする必要があります。そのようなときには「病院ができない」ということを記録に明記しておくと良いでしょう。
更に、院内における同行援護事業は、実施が可能です。介護保険においてもケアマネージャーが院内での支援が必要とすればこれまでも移動支援で対応が可能でした。しかし、ケアマネージャーがこれを知らなければ院内での支援ができなかったのです。介護保険を実施している事業所はこの点を理解して業務にあたる必要があります。
(サービスエリア、サービス時間帯)
- Q15 同行援護事業でヘルパーを派遣できる地域や時間帯に何か制限はありますか?
- A15 事業所のヘルパー派遣エリアと業務時間帯についてはこれまで同様事業所の運営規定で定めることとなっています。運営規定に書かれた地域への派遣については、正当な理由がない限りお断りできません。また、業務時間についても同じです。
場合によっては、市町村が時間帯やサービスエリアを決定していることがあります。「事務処理要領」に基づいて作成していますので、これを確認することも必要です。
(契約等)
- Q16 現在移動支援事業を利用されている方と新たに契約書を交わす必要があるのでしょうか?
- A16 制度が同行援護事業に変わりますので同行援護事業を提供する時は利用者と新たな契約を結ぶ必要があります。ただし、これらの方法については市町村によりさまざまな方法をとっていますので確認が必要です。
- Q17 日中の単価以外に夜間・早朝・深夜の加算はあるのでしょうか?
- A17 同行援護事業が自立支援給付になった関係で、居宅介護などと同様にそれぞれの加算があります。また、今までの移動支援事業と比べて、積算方法が変化していますので確認することが必要です。
(諸経費)
- Q18 ガイド中に生じる従業者の入場料、交通費はどうなりますか?
- A18 基本的に今までの移動支援と同様利用者の負担になります。しかし、どの程度までの金額を利用者に負担していただくかについては、事業所として予め検討しておく必要があるでしょう。
(サービス提供の資格等)
- Q19 同行援護事業従業者の資格要件はどのようなものですか?
- A19 (※1)以下のア、イ又はウのいずれかに該当する者
- ア.同行援護従業者養成研修一般課程修了者、それに相当すると都道府県知事が認めた研修の修了者。ただし、居宅介護の従業者要件を満たす者にあっては、適用日から平成26年9月30日までの間は、上記の要件を満たしているものとみなす。
※カリキュラム案の「応用課程(12時間)」修了者については、特定事業所加算の際の要件の一つとする予定。(「一般課程、応用課程」等の名称は変更があり得る。) - イ.居宅介護の従業者要件を満たす者であって、視覚障害を有する身体障害者等の福祉に関する事業(直接処遇職員に限る。)に1年以上従事した経験を有する者。
- ウ.厚生労働大臣が定める従業者(平成18年厚生労働省告示第556号)に定める国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科を履修した者又はこれに準ずる者。
- Q20 現在雇用している移動支援事業従業者は、同行援護事業従業者として活動が可能なのでしょうか
- A20 移動支援従業者養成研修を、同行援護従業者養成研修一般課程と同等であると都道府県が認めれば要件を満たすことになる。
また、実務経験1年については、ガイドヘルパーの経験も含まれるものと考えている。(※2)
- Q21 加算事業所になるためには応用過程を終了した従業者が従業者全体の何割以上必要なのでか?
- A21 基本的に現在の段階では明確に出されてはいません。ほかの制度と比較して考えると100分の30程度としておくことが良いと考えます。詳細は政省令を参考にしてください。
- Q22 同行援護事業の実施に当たって、事業所は新たなサービス提供責任者の配置やその資格要件はありますか?
- A22 これまで移動支援事業のみ実施の事業所については、指定基準に添った配置等が必要です。以下の指定基準(※1)を参照にしてください。既に移動支援事業と自立支援法に基づく居宅介護サービスの両方を実施している事業所は新たな配置の必要は無いと考えます。
- (1) 人員に関する基準
- 1.職員の配置に関する基準
- 以下の職員を配置すること
- ・ 管理者(1人以上)
- ・ サービス提供責任者(事業規模に応じて1人以上)
- ・ 従業者(常勤換算で2.5人以上)
- 2.職員資格に関する基準
- 〈従業者の要件〉
- 以下のア、イ又はウのいずれかに該当する者
- ア.同行援護従業者養成研修一般課程修了者、それに相当すると都道府県知事が認めた研修の修了者。ただし、居宅介護の従業者要件を満たす者にあっては、適用日から平成26年9月30日までの間は、上記の要件を満たしているものとみなす。
※カリキュラム案の「応用課程(12時間)」修了者については、特定事業所加算の際の要件の一つとする予定。(「一般課程、応用課程」等の名称は変更があり得る。) - イ.居宅介護の従業者要件を満たす者であって、視覚障害を有する身体障害者等の福祉に関する事業(直接処遇職員に限る。)に1年以上従事した経験を有する者。
- ウ.厚生労働大臣が定める従業者(平成18年厚生労働省告示第556号)に定める国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科を履修した者又はこれに準ずる者。
- 〈サービス提供責任者の要件〉
- 以下のア及びイのいずれにも該当する者又はウに該当する者
- ア.介護福祉士、介護基礎研修修了者、居宅介護従業者(訪問介護員)養成研修1級課程修了者又は居宅介護従業者(訪問介護員)養成研修2級課程修了者であって3年以上介護等の業務に従事した者。
- イ.同行援護従業者養成研修課程(それに相当すると都道府県知事が認めた研修を含む。)の修了者。ただし、適用日から平成26年9月30日までの間は、上記の要件を満たしているものとみなす。
※同行援護従業者養成研修課程」とは、「一般課程」及び「応用課程」を合わせたものをいう。 - ウ.厚生労働大臣が定める従業者(平成18年厚生労働省告示第556号)に定める国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科を履修した者又はこれに準ずる者。
- (2)設備に関する基準
- 以下の設備を設置すること
- ・ 事務室
- ・ 受付等のスペース
- ・ 必要な設備及び備品等
- Q23 同行援護事業については、請求業務は国保連に電子請求をすることとなるのでしょうか?
- A23 神奈川県の場合そのようになると考えます。
- ※1 「同行援護の事業内容等について(案)」(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課)より引用
- ※2 「同行援護に係るQ&A」(障害保健福祉関係主管課長会H23.6.30)より引用